
和風カレーの肉豆腐
肉豆腐なる名称の料理があることを認知したのが、およそ9〜10年ばかり前。
当時はまだ、チェーン居酒屋に通うという行為が愉快で仕方なく、家人共々、時には支払要員として愚弟なども連行しつつ(爆)、おめでたくも週に一度は足を運んでいたものであった。
そんな折に、そこそこの規模のチェーン店にて出会ったのが肉豆腐というもの。
どういうわけか俺はこの言葉を聞いた当初、「肉襦袢」という言葉が脳裏をよぎってどうしようもなく、しかもその肉襦袢という言葉を甚だしく誤解していたものだからもう大変。
実際のところの肉襦袢というのは、往年のドリフやらひょうきん族などのコントなどで多用されていた、たとえば相撲取りを装う折などに着用する、あの無闇にもこもこしたコスチュームのこと。
ところが世情に疎い俺・・・。
あろうことか肉襦袢とは、何かしらのエロティック方面の用語であり、場合によってはそれこそ、四十八を数えるという何かしらの体位であったり何であったり、そちら関係の概念であると思いこんでしまっていたのだね。
おそらくこれはひとえに「肉」の一文字に起因するものであろうことは間違いない。
そんな用語が、何の変哲もないであろう、一介の豆腐料理の名称から連想されるものだからどうしようもない。
居酒屋のメニューに掲載の、当該肉豆腐の画像を拝見しても、何かしら抵抗のようなものが感じられて仕方がないのである。確かに画像の料理はうまそうだにゃあと思えているのではあるが、どうも何やら淫猥なようでいかん。
わかめ酒だの女体盛りなど、奇矯な風俗が世にはないでもないようだが、私はどうもそちら方面において何かしらの色めきというものを覚える習性を持たぬようなのである。
そんなこんなで、出会って以降も長らくは口にすることがなかった、というかできなかった肉豆腐なる料理、もしくはおつまみ。今日はぜんぜんエロくないバージョンでご紹介してみる次第(笑)
名づけて『和風カレーの肉豆腐』。
1 豚コマを細切りにしてゆで、ゆで汁にだしの素と砂糖を加え、カレールウを溶かす。
2 1に木綿豆腐を入れて、汁をすくって豆腐の上部にかけながらさらに加熱する。
3 豆腐を小皿もしくは小鉢に移し、肉と汁をかけたら、 豆腐の上部に青ネギをのせる。
肉豆腐などと、殊更に一つの体言を成立させるものだから、何やら非常に特殊な調理法が要求される、何かしらのスペシャル感漂う料理かと想像されてしまうが、実態は豆腐と肉をいっしょくたに加熱したものに過ぎない。
これが肉豆腐のリアル。
ということで、まずはとにかく気軽に、行平鍋に少量の湯を沸かすことから着手する。
そのかたわらで豚のコマ切れ肉、いわゆる豚コマを数切れ、販売用のトレーより取り出し4〜5mm幅に刻んでいく。そうこうしているうちに沸き立った湯に、豚コマを投入してさっと色が変わるまで茹でる。
そこへだしの素少々と砂糖一つまみをはらはらとふりかけ、続いて市販のカレールウを二分の一かけばかり落とし入れ、菜箸でかきまぜつつこれをよく溶かす。
こうしてできたカレー肉汁内に、木綿豆腐を適当な大きさに裁断したものをそっと安置する。そして、加熱はそのまま続けながら、カレー肉汁をすくっては豆腐にかけ、すくっては豆腐にかけという営みを数回繰り返す。
ここまで来ればほぼ完成といってよい。
後は、豆腐を慎重に鍋よりすくい出し、適当な大きさの小皿なり小鉢なりに移動させたら、その上部からカレー肉汁をそっとかけてやるのだと。
締めには彩りとして、小口切りの刑に処せられた青ネギなどを豆腐の上部に搭載してやるのだと。
以上のような、手間ヒマとも言えない手間ヒマを少々かけてやることで完成したのが今日のおつまみレシピ『和風カレーの肉豆腐』。日本酒とカレーの意外な相性をご堪能あれ。
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